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『光る君へ』感想あらすじレビュー第5回「告白」

永観2年(984年)、五節の舞姫となったまひろは、“三郎”の正体を知りました。

藤原兼家の三兄弟・藤原道長――母を殺めた“ミチカネ”の弟だったなんて。

衝撃のあまり倒れ、寝込んでしまいます。

 


姫君サロンは五節の舞姫の話で盛り上がる

まひろが不在となった源倫子の姫君サロンでは「五節の舞姫」の話題で持ちきりです。

なんでも侍従宰相に見初められ、結婚相手が決まった姫もいるとか。

顔が四角いけれど、財産はあると妥協点を見出している。誰かと思えば、侍従宰相はザブングル加藤さんが演じました。

そして話題は藤原三兄弟のことへ。

見目麗しいとはしゃぐ姫君たちに対し、おっとりしているような倫子も興味津々です。

話題はまひろが倒れたことにも及びます。

あの程度の身分で舞姫を務めたのが生意気だのなんだのチクリと嫌味を言い、姫たちがクスクスしていると、倫子は自分の差金だとしてきっちりと、それでいて優しく止めます。

彼女はこの時点で、只者ではない大物の風格が出ていますね。かわいらしいだけの姫君ではない。

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平安時代の病気治療

藤原為時邸では下女のいとが大慌て。まひろが寝込んでしまい、三日もの間、水も食事も口にしないとか。

彼女の治療にやってきたのは、僧侶と巫女でした。

余計に具合が悪くなりそうな祈祷が始まります。

巫女の格好をしている人物は「よりまし(寄坐・憑子・尸童)」です。

「……ちーおーしやー」

突如うずくまって何か言い出しますが、要するに怨霊がとりついているということです。

口惜しや
子……
娘……
母じゃぞ

僧侶の解説によると、残された子に未練があって、母が成仏できていないそうです。

母を浄土に送らねば、いずれ怨霊になって呪い殺す。成仏を願い、不動明王に願い、水垢離(みずごり)をせよとのこと。

すかさず弟の藤原惟規が、冬だし寒いし死んじゃう!と嫌そうな態度になります。やらねば怨念で姫が死ぬと脅されても、嫌なものは嫌なようで。

「しっかりしてくれよ〜、姉上」

すっかりぐずぐずしてしまう弟ですが、なんとかいとが水を浴びせようとします。嫌だ!とごねる惟規と争ううちに、水桶をひっくり返してずぶ濡れになってしまうのでした。

「もう!」

まひろが起きました。死んだように寝るのはやめるから、もうああいう人たちは呼ばないで欲しいと念押しするのでした。

この場面はおもしろおかしく、よくできています。

日本の宗教は「儒・仏・神」とされます。異なる宗教でも混ざる。寺と神社が一体化したような場所もあります。

本作のこのシーンでも僧侶(仏教)とよりまし(神道)がコンビでやってきていた。

さらにややこしいことに、この頃は中国の道教までうっすら混ざります。日本の仏教は中国経由なので、そうした融合が避けられなかった。

鎌倉時代以降の僧侶たちは「それではいかんでしょ」とブラッシュアップに努めますが、そうして洗練される前のカオス状態が実に面白い。

考証だって相当大変でしょう。『鎌倉殿の13人』に続き、大変頑張って作り上げてきております。

医療にしてもお粗末で、こんな調子では平安時代の人はすぐ死んでしまうのでは?と思えます。なんせ平均寿命は40あったかないかと言われるほど。

にしても、病気になっても祈るだけか……。と、『三国志』ファンの方なら華佗の手術を思い浮かべるかもしれません。華佗の場合は後世の脚色もあるので比較は難しいですが、そうした技術伝播のほどもなかなか興味深いものがあります。

病気で寝込んだらオカルト儀式をされるなんて、この時代に生まれなくて本当によかった。映像化されると想像以上に厳しいものがありますね。

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まひろは道兼の顔を忘れない

まひろは父・藤原為時と対峙します。

為時は、まひろが幼い頃に見た咎人の顔を忘れていることに賭けていた。

しかし彼女は覚えていた。

まるで頭の中で映像を残していたかのように、あの日のことがまざまざと思い出されるのかもしれない。

賭けに負けた為時は、“ミチカネ”のことは胸にしまって生きていけと命じます。ちやはもそれを望んでいる。

と、この言い分がなんとも酷いですね。まひろが男であれば大学で立派な成績を残し、自分の力で出世できるが、弟の惟規はできない。

誰かの引き立てでなければ、いい官職を得られない……残酷すぎる達観ぶりです。

その上で右大臣に縋らねばならないのだと父の主張に対し、まひろは、母を殺した咎人を許せというのかと怒ります。

「お前は賢い……わしに逆らいつつも、何もかもわかっているはずだ」

「わかりません!」

噛み合わない父と娘です。

そのころ、内裏で勤務する武官たちも、倒れた舞姫の話をしていました。

藤原道長はその噂を暗い顔で聞いている。

まひろは母の形見である琵琶を、母を思い出しながら弾いている。

“ミチカネ”の弟が三郎――魂がさまよっているような顔で、月明かりの下、彼女は悩んでいました。

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