こちらの画像はイメージです『源氏物語絵巻』より/国立国会図書館所蔵

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『光る君へ』で毒を盛られた円融天皇~史実でも兼家に追い込まれる?

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遵子には子ができず……

なんとしても権力を奪取したい兼通。

天元元年(978年)、次女の藤原詮子を入内させます。

大河ドラマ『光る君へ』の第1話はまさにこの場面で、吉田羊さん演ずる詮子が円融天皇のもとへ嫁いでいましたね。

段田安則さん演じる兼家にしてみれば、政争のための大切な駒であり、円融天皇が苦虫を噛み潰すような顔になるのも無理はありません。

天元2年(979年)になると中宮の媓子が亡くなり、翌天元3年(980年)、女御となった詮子は懐仁親王(後の一条天皇)を産みます。

こうなると詮子が有利なようで、円融天皇はあえて藤原頼忠の娘である遵子を中宮としました。

兼家や詮子にとっては万事休す……とはなりません。

円融天皇にとっては悔しい限りでしょう。遵子には子ができませんでした。

そうこうしているうちに、しびれをきらした兼家は、強引な行動に出ます。詮子と外孫・懐仁親王を自邸へと連れ去り、出仕を取りやめたのです。

円融天皇と藤原兼家の間で意地の張り合い、持久戦が始まりました。

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円融天皇と兼家の持久戦 その行方は?

内裏が焼けるトラブルが起きても、決して藤原兼家には頼ろうとしない円融天皇。

一方、断固として出仕しない兼家。

両者で意地の張り合いが続けられましたが、我が子を人質にされたような円融天皇は、ついに折れます。

永観2年(984年)、懐仁親王に相撲節会を見せたいという名目で、円融天皇は詮子の子であり、兼家の孫である懐仁親王を東宮としました。

兼家にしてみれば万々歳といったところですが、円融天皇があっさりと引くわけでもありません。

冷泉天皇の皇子である師貞親王を花山天皇として即位させた上で、懐仁親王を東宮にしたのです。

花山天皇とは、ドラマ『光る君へ』の中では本郷奏多さんが演じる、かないクセの強い人物ですね。子役時代は、家庭教師である藤原為時に向けて放った変顔が話題にもなりました。

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兼家は既に年老いている。

花山天皇はまだまだ若い。

一体いつ天皇の祖父となれるのか?

そう焦った兼家は、我が子の藤原道兼らと共に激烈な政治闘争を引き起こします。

寛和2年(986年)6月23日、寛和の変です。

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『光る君へ』の第1話でまひろの母・ちやはを刺殺した“みちかね”こと藤原道兼が花山天皇をそそのかして譲位させたのでした

それから約5年後の正暦2年(991年)、円融天皇はわずか31という若さで崩御しました。

幼いころから藤原氏の外戚政治に翻弄され、利用され続けた。

譲位後の短い自由な時を経て、世を去ったのです。

しかし彼の子である一条天皇をめぐり、藤原氏の政治闘争はますます激化してゆくのでした。

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文:小檜山青
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【TOP画像】
世尊寺伊房 詞書/藤原隆能 画/和田正尚 模写『源氏物語絵巻』(国立国会図書館所蔵)

【参考文献】
橋本義彦『平安貴族』(→amazon
倉本一宏『敗者たちの平安王朝 皇位継承の闇』(→amazon

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