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『光る君へ』感想あらすじレビュー第11回「まどう心」

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『光る君へ』感想あらすじレビュー第11回「まどう心」
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大河ドラマはサイテー男ばかりだと気づこう

道長がサイテーだ!

そんな嘆きが満ちてきそうではあるものの、それは誠意あってのことです。

女性の立場を考えた大河ドラマに、2013年『八重の桜』があります。

あの放映時「兄つぁまを鴨川に放り込め」という声があふれました。会津に糟糠の妻を残し、京都で若い女性を妻にしてしまったからそう言われたのです。

ただあれは、お堅い会津藩ならではということ。兄つぁまこと山本覚馬が失明し、介助が必要だったという事情もあります。

2015年『花燃ゆ』では、京都で女を作る長州藩士は当然すぎて、もう感覚が麻痺するようなところはあります。

あれは「イケメンならゲスでもいいでしょ!」と押し付けてくるような作品でした。

そして2021年『青天を衝け』は、高度なイケメンロンダリング技術が発揮されたドラマでしたね。

幕末から明治という時代は、女性をともかく粗末にしていました。

若いウェイウェイ系のお兄さんが京都に向かい、テロで権力を得たものだからそりゃ遊ぶ。

大学生サークルのノリが抜けない連中が、国の頂に立ったわけですから、そんな連中の下劣事情を、どうしてNHKはロンダリングするような描き方にしたのか。

呆れながらもリストにまとめますと、ともかくあのドラマに出てくる男はカスの精鋭部隊です。

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こうして並べてくると、今週の道長が霞んでしまう。

2023年『どうする家康』は、女性関係ではあまり甘くならないはずのところを甘ったるくして見ていられなかった。

しかも文春砲がまたも炸裂し、主演の意向で「阿茶局に井上真央さんをキャスティングするつもりだった」なんて暴露まであります。

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仕事と恋の公私混同は、時代を超えて悪をもたらします。

井上さんが巻き込まれなくて本当に良かった。

彼女は大河が失敗した結果、キャリアが停滞しました。

昨年の主演はさらに様々な影響が予測されており、大河ブランド一つの区切りを考えさせる流れです。こういうことで歴史を作り出さなくてもよいでしょうに。

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『花燃ゆ』『青天を衝け』『どうする家康』のような作品は何がよろしくないか。

クズ男をシュガーコーティングして「こういうクズ男も甘いよ」と言い張るところであり、今年のようにハバネロ激辛クズ男をつきつけてきた方がよほど誠実です。

女性向けだのイケメンだのいうけれど、誠意のない男なんていらんでしょう。そういう偽装じみたことを続けてきたあと、道長のクズっぷりがきた。

私はこの道長のサイテーぶりに、むしろ拍手喝采したくなりました。

なぜなら道長に怒りと怨嗟をぶつけることで見えてくる道があるからです。

あの道長からは、何か新しいものが始まる光が見えました。

毒に砂糖をまぶして突きつけられる虚しさはもういらない。

どんなに残酷でも、真実がひとかけらでも混ざっていたらそれは輝きといえる。

そう、このドラマは燦々と輝いています。誠実です。

誠意と言えば、ゲンダイさんの記事も興味深い。

◆吉沢亮、山﨑賢人ら起用でCMから“旧ジャニーズ外し”決めた企業の狙い 不買運動で脅すファンがリスク?(→link

旧ジャニーズファンを狙うことのメリットとデメリットが指摘されています。

思えば昨年は、旧ジャニーズタレントにどれだけ忖度できるか試されているようでした。

主演を褒めちぎれば恩恵に浴することができたのかもしれませんが、私にはできなかった。

自分の要領の悪さを嘆くばかりです。

 

読み方に人格が出る緊張感

前回のこの解説が素晴らしく読み応えがあります。

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山本淳子先生の解説が素晴らしくないわけがありませんね。

平安時代白居易受容まで含まれ、意義が実にある。山本先生ほどの方がステラで解説なさっているのに、私如きが何をする必要があるのかと思いました。

そして怖くなりました。

山本先生の解説からは、まひろが道長によりよい政治を投げかける優しさがあります。まひろが、陶淵明から白居易のような、優しい為政者への道へと道長を導くという流れです。

でも振り返ってみて私は、まひろが己と陶淵明を重ねたと解釈し、突っぱねたとしている。

解釈に性格のきつさがあからさまに滲んでいるんですね。

うーん、怖い。もう今更だし、昨年の方がよほど性格の悪さが滲んでいたけれども、これが文学解釈の味だと思います。

正解は決められない。何を意図して引いたのか意見が入り混じる。

正解はひとつでなく、入り混じる感覚が愛おしい。

別の年の大河では、この先生の意見だけが正しくて他はクズだという誘導がありました。

それは明らかに不健全でしょう。

今年は解釈や議論の幅があり、とても素敵だと思えます。

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文:武者震之助note

【参考】
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