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『光る君へ』感想あらすじレビュー第20回「望みの先に」

2024/05/20

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『光る君へ』感想あらすじレビュー第20回「望みの先に」
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MVP:定子

香炉峰の雪をどうみるのか?清少納言と謎かけをしていたころ。

あのころの定子はまるで春の日差しを浴びて、咲き誇る花のようでした。

それがこんなことになってしまったのに、まだ定子は美しい。

困難なときほど、人としての本質が出るのでしょうか。

うろたえる伊周、投げやりな隆家と異なり、凛としていてなおも美しい。

そして優しい。

帝に再会したときも、相手を恨まず気遣う。

清少納言を案じ、里に下がるよう促す。

こんなに清らかで美しい人がいたのかと思うと、本当に素晴らしいことだと圧倒されます。

今回の定子は、半ば透き通っているような、不思議な光にふちどられていました。

半分人で、半分仙女になりつつあるような、尊さがあります。

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まひろは「女諸葛」だと思えばよいのだろうか?

今回はまひろの活躍ぶりに、もはや爽快感が湧いてきて、一周回って応援するしかないと思えて来ました。

為時が突如として越前守に抜擢された過程は、物語にも描かれているものの、なかなか無理があるのだとか。

ここはフィクションの強みで、全てまひろの策になりました。

前回、身分にこだわらない人材登用を帝に訴え、父の引き立てを促す。

そして今回、淡路守では足りぬと越前守にする野望を見出し、叶える。

まひろは知識と筆を動かすことにより、この策を成し遂げる。そのうえでニヤリとほくそ笑む。諸葛孔明じみています。

これはダジャレでもなんでもなくて、今のまひろの活躍ぶりは『三国志演義』における、【赤壁の戦い】前後の諸葛孔明描写に近いと思えて来ました。

諸葛孔明は史実においては、あの戦いにさほど関与していません。

それを点と点をつないで線を引っ張って、さらに線と線を繋いで面を作るように、活躍する様を描いていきます。

もともと抜けたところのある場面に、一人の人物を膠のように入れ込むことで話を面白くする――歴史ものフィクションではおなじみの技法です。

そうはいっても、女性をこんな凝った策士にすることは珍しいうえに、動かした結果、ちょっと腹黒くおさまるところが「女諸葛」と呼びたくなるのです。

結果的に、まひろが源盛国の寿命は縮めてしまうところも、諸葛孔明らしい。

やはり諸葛孔明はライバルを蹴落とし、吐血させてこそでしょう。

となると、道長が劉備ですね。

大河ドラマはあくまでフィクションです。

まひろが都合よく動きすぎだと思うかもしれませんが、ここ数年でも主人公を話の都合で動かすことはあります。

『麒麟がくる』で明智光秀が、【桶狭間の戦い】を終えた織田信長と話をする。

『鎌倉殿の13人』で北条義時が、源義経の敗死を見届ける。

どちらもなかなかの力技とはいえ、ドラマとしてはまとまっていました。今年もその類でしょう。

面白くて、かつ物理や倫理的に無理があるわけでもなく、物語の意図がまっとうであれば、私としては許容できる範囲です。よくおさめていると思います。

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大河に必要なのは合戦よりも策では?

そしてまひろの策士ぶりを見て、あらためて「こういうのが見たかったんだ!」と思いました。

『パリピ孔明』は、別に現代東京のど真ん中で合戦をするわけもありません。

それでも孔明が策を練るところが面白い。

歴史劇に必要なのは策であり、合戦シーン、チャンバラばかりではありません。

そういうシーンが見たいのであれば、数年前なら『ゲーム・オブ・スローンズ』を勧めていました。

今は華流時代劇をお勧めします。中国は長江のような大河での戦闘もあるため、水上戦も迫力があります。

なぜこんなことを言い出すのか?というと、以下のような記事を見かけたからです。

◆24年の大河ドラマは紫式部の生涯を描く「光る君へ」 合戦シーンがないので製作費を節約できる?(→link

◆NHK大河「光る君へ」賛否割れる最大の論点は「合戦シーンがないこと」なのか?(→link

まず一本目の記事ですが、平安中期は製作費が超過するか、コスパが悪いので避けられているのではないかと私は推察しています。

衣装、セット、小道具の使い回しが効きにくいのです。十二単はかなり制作費がかかることでしょう。

衣装の予算は昨年と今年を比較すると、一目瞭然に思えます。

生地の質感からして今年が上。小道具も、文房四宝はじめ、相当凝っています。

紀行で文房四宝の紹介があると、書道を習っている方は欲しくてたまらず悶絶するとかなんとか。

二本目の記事は、今年はそこまで賛否が分かれているとも思えません。

もともと平安中期に思い入れのない層は離脱し、残って見ている層は「賛」ではないでしょうか?

諸葛孔明のように兵法を嗜む者は、己の耳目で戦況を見極めるべしとされます。

書店に足を運んでみてください。大河関連書籍、歴史雑誌の特集でも見ていただければと。

紙媒体でわざわざ出すとなれば、手応えがある証拠。

毎年5月ともなれば、こうした紙媒体は減ってきますが、今年は根強く残っており、『源氏物語』人気の根強さだけではない、ドラマの持つ力も十分あると思えます。

それに「今年の大河はダメだ!」と自信を持って記事にできて、かつPVを稼げる確信があるなら、もっと否定するトーンは強くなると思います。

それがどうにも弱い。すでにそうした記事は2月ごろには消えていたのではないでしょうか。

それでも否定記事が出てくるのは、同志でも募りたいのでしょうかね。

コメント欄やSNSで「俺はつまらん」と賛同する人が出てくれば、安心できるとか? その期待があるとすれば、あまり実っていないようではありますが。

記事内、以下の部分にも注目です。

「呪詛のシーンが合戦シーンの代わりかというとちょっとわかりません。どちらかというと魔法ものという別ジャンルになるのかなという気がします。映画『陰陽師』や『呪術廻戦』、『ハリポッター』、『ゲーム・オブ・スローンズ』などのようなファンタジーバトルもので新たな視聴層を狙っているようにも思います」

恋愛ものが好きな女だの、魔法ものが好きな子どもだの、おじさんよりも低劣な連中に目配せしていると言わんばかりの書き方です。

『ゲーム・オブ・スローンズ』は、魔法が出てくるとはいえ、それがメインではありません。

ジャンル分けに疑問を感じます。

そんな雑駁な展開で結論を見出そうとしても、厳しいのではないでしょうか。どうしたって結論ありきの誘導を感じます。

ちなみに『ハリポッター』ではなく『ハリー・ポッター』ですし。

呪詛や怨霊が出てくる大河ドラマといえば、中世の『鎌倉殿の13人』もそうでした。

『鎌倉殿の13人』にせよ、『光る君へ』にせよ、呪詛はむしろ心理戦や策略の象徴であり、幼稚であるとも言い切れません。

『ゲーム・オブ・スローンズ』にせよ、こうした要素は子ども騙しというよりも中世らしさの表現としてみられるものです。子どもは呪詛が好きとは一体どういう認識なのでしょうか。そもそもあのドラマは成人向けで、子ども向きどころか、未成年は視聴禁止です。

例えばシェイクスピアの『マクベス』や『ハムレット』は魔女や亡霊が重要な役割を果たしますが、子ども向けでしょうか。

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結論ありきの誘導とはどういことか。ゲンダイさんから別の記事でも。

◆山下智久「ブルーモーメント」急失速は出口夏希の中国語が原因? 興奮すると飛び出す“ナゾ設定”に視聴者ゲンナリ(→link

成功にせよ、失敗にせよ、原因は複数あり特定はできません。

それをこの記事では、

・若い女が二カ国後話すことへの反発

・それでも英語ならここまで反発しただろうか? 中国への蔑視

この二つの要因を強調したいように思えます。

ミソジニーとレイシズムを煽ればPVを狙えます。芸能関係の記事は読み飛ばした上で、PVを狙えばいいという忖度が働きます。

こういう、感情に迎合し、理論を無視した言論に溺れると、人は思考回路が落ちる一方。水と情欲は低い方へばかり流れます。

そんな堕落を識者の意見だの、視聴者の声だの、そんな理屈で偽装して鬱憤を晴らすことは、果たして良いことなのでしょうか?

その弊害も考えて欲しいところです。

記事内で指摘がありましたが、大河ドラマは確かに戦国時代が多い。とはいえ、第一作の『花の生涯』からして合戦はありません。本当に合戦=大河なのか、疑ってみることも重要なのでは?

そもそも論でいくと「合戦=歴史もの」という認識からしていかがなものでしょう。

日本でも歴史といえば、『春秋左氏伝』や『史記』でした。

藤原実資あたりがそう主張しているのではなく、幕末の武士もそんな認識でした。

ところが庶民はそんな真面目でお堅い歴史は学べないモンだから、やたらと合戦しまくる軍記ものばかりを読みおる。トレーディングカードのように浮世絵の武者絵を集める。

そういう江戸後期以降の、歴史を包摂したエンタメが定番ジャンルとしてあるというだけの話です。

そういう定番の題材ばかりを選ぶと、枠が古色蒼然としてきてしまう。それを刷新するとなれば、賛否両論だろうと意義があることは論を俟たないでしょう。

自分向けのモノが出されないだけですねて許されるのは、せいぜい小学校低学年までのこと。もっと大人になって欲しいものです。

ついでに言いますと、再来年大河の題材には失望したと、海外の大河ファンは嘆いていました。

二年連続斬新なテーマだったのに、なぜ手垢のついた戦国時代を繰り返すのか、逃げに回るのか?と。そんな声があることも考えたいところです。

蛇足ですが、以下の記事のような誘導もいかがなものでしょう。

◆バイセクシャリティといわれる賢婦・紫式部、その根拠とは 妻妾となった紫式部、夫の浮気に気を揉む婚姻生活の顛末(→link

大河を“ボーイズクラブ”のモノと見做し、必要以上に性的な誘導をする記事は毎年あります。

ハラスメントのようだし、歴史はそんな下半身だけで動くものでもありません。

むしろジャンル衰退を招くのではないでしょうか。バイセクシュアルだから何だというのでしょう。大河ドラマはセクハラへ誘導するコンテンツではないでしょう。

💟 『光る君へ』総合ガイド|紫式部の生涯・宮中・平安文化を網羅


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【参考】
光る君へ/公式サイト

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武者震之助

2015年の大河ドラマ『花燃ゆ』以来、毎年レビューを担当。大河ドラマにとっての魏徴(ぎちょう)たらんと自認しているが、そう思うのは本人だけである。

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